テントの横を通り過ぎる釣人の足音や台車を引く音で何度も目覚めてしまい、寝た気がしないままに2時半には起きてしまいました。
すでにイノケンさんとモリさんは、垂らし竿の準備中でした。
垂らし竿は一人7本以上並べますから、その準備や道具は想像以上に運ぶことも用意することも大変そうなので私には向かないと思いました。
しかし、ブッコミ竿でも釣れると聞いていたのでその準備をしますが、大量には運べませんので私は2本だけです。

明るくなり始めましたが厚い雲に覆われている空は容易に明るくならず、4時を過ぎてもまだまだロッドを振る気にはなれないほどでした。
ようやくキャスティングできる時間になってウキルアーをキャスト、その後しばらくしてからブッコミ仕掛けも投入してスタートです。
しかし、周囲の誰のロッドも曲がることなく静かな時間が過ぎていきました・・・今日はハズレか?いやいや少しだけど魚影も見えたから魚はいるはず、などと自問自答を繰り返しました。
5時半頃になってようやく周囲にアキアジが釣れ始めましたが、垂らしではなくウキルアーがほとんどでしたので期待が高まります。
しかし、釣れるのは私達の両側ばかりでした・・・。

モリさんファイト中!
そして6時ちょうどのことでした。
アキアジがたまっている場所が私の隣の人の垂らし釣り竿の前方に見えたので、思いっきり斜め投げをしたのは誰の邪魔にもならないので試してみる価値はあると思ってのことでした。
これが当りで、一投目にアキアジ特有のアタリがあり、アワセのタイミングがついにやってきました。
会心のアワセでヒットした瞬間から、元気なアキアジの大暴走が始まりました。
昨日のアキアジとは全く違う別物のようなファイトで、見えた魚体は随分と大きなものだったのでオスだと思います。何度も何度もドラグを出されて走り回るアキアジをコントロールするのは至難の業でしたが、他の人の仕掛けに絡まないように必死です。
そのうちに、駆けつけてくれたモリさんがタモを構えて待っていてくれて、引き寄せたところをネットイン・・・するはずでしたが、ネットにフックが引っ掛かってしまいバラシ・・・。
私は残念がるよりも、そのファイトにすっかり疲れて息を切らせながらも、楽しかったーと言ってました。

イノケンさんファイト中!
その後はお隣のモリさんが道東らしいデカオスをウキルアーで釣り上げて、今期初物のアキアジGetに大喜びしていた姿には、横で見ていた私もホッと胸をなでおろした心地でした。
また、釣っていた場所が私達からは少し遠いですが、この釣り場ではベテランのイノケンさんも垂らし竿やウキルアーで確実に釣果を伸ばしていたのはさすがです。

体長5mくらいのアザラシ
そろそろ自分にもアタリが来ないかなあと、待ちこがれていた7時過ぎのことです。
周囲に「アザラシだ!」そんな声が飛び交っていた私の目の前3mのところに、大きなゴマフアザラシがふわっと浮かんできたのです。
こちらを見ている表情は実に可愛いかったので、写真を撮っているうちに海中に消えていきましたが、これがこの日の騒動の始まりとなりました。
イノケンさんの垂らし竿にヒットしたアキアジを、アザラシが獲っていってしまったのでした・・・。しかも、一度ならず二度までもイノケンさんはアキアジをアザラシに奪われてしまったのでした。
この後も誰かがヒットするとその音を聞いてアザラシがやって来ては、タモ入れ前に横取りしてしまうのでした。

イノケンさんにいただいたバット
そんな不安な状態の中で7時35分、私にヒット!
しかし喜んではいられません、すぐにアザラシが襲ってきますので強引にアキアジを寄せていると、イノケンさんが駆けつけてくれました。
予想通りアザラシが現れたので右に左にとアキアジを移動させ、一度はアザラシに持って行かれそうになりながらもイノケンさんが見事にタモ入れしてくれました。
80cm弱のオスをGetしてようやく一安心しましたが、襲われかけた腹部のウロコが剥げて落ちていました。アザラシ恐るべし・・・。
しばらくするとアザラシは何処かへ行ってしまったのかいなくなってしまい、釣り場はようやく落ち着きを取り戻しました。
そして1時間ほど経った目の前20mほどのところで、微かに感じたアタリとともに白い魚体がクネクネしています。
間髪いれず大きく合わせると少しだけドラグを鳴らして抵抗しましたが、その後は意外と簡単にモリさんが構えるネットにすっと入ってしまいました。

沖で釣れるようなウロコの魚体
75cmほどのオスですが、ウロコがポロポロ剥がれ落ちるほどの超銀ピカGetでした。
私は大型のクーラーボックスは運べず車に置いてきていましたので、この日釣った魚は全てイノケンさんのクーラーに保管していただいていました。
魚を持って行くと、すでにイノケンさんのクーラーには4本も入っていて、絶好調のイノケンさんは余裕の表情です。

AR-C1106がこんなに曲がりました(イノケンさん撮影)
この後は、色々なルアーやミノーを試してみましたが全く無反応・・・それでも辛抱して続けていましたが、周囲で次々とヒットしているので堪らずパイロットルアーに交換した8時半過ぎでした。
半分ほどリーリングしてきた頃にアタリ・・・ヒットです。
力強くてドラグが鳴り捲っていましたので、これはオスかなと思いながらも今期はメスが多いので期待してはいませんでした。
無事、モリさんがタモ入れをしてくれて、これまた超銀ピカメスGetです。オスではなくて少しだけガッカリでしたが、贅沢は言ってられません。

その後、お腹の調子が悪くなった私は漁港まで歩いて戻り、一旦魚を置きに戻ったモリさんとともに釣り場へ戻りましたが、ロッドは一度も振ることなくイノケンさんのファイトを見て、モリさんのタモ入れをしてから片付けをして納竿しました。
4本のアキアジをリュックに入れて背負い、キャンプ道具と釣り道具をカートに入れて運ぶのは想像以上の重労働でして、何度も休憩をしながら運んでいると地元らしき人たちがいたるところで声をかけてくれたので、この釣り場に来ている人たちの温かさに感動さえしてしまいました。
帰り道の砂浜には道東名物のブッコミ釣り竿の林立する様と、そこに出店していたそば屋にも驚かされましたが、波が少し高くて私には怖い釣り場に見えてしまいました。
この日夕方まで粘ったイノケンさんは垂らしで3本、ウキルアーで5本、モリさんも垂らしでは残念ながら釣れませんでしたがウキルアーで3本の釣果があったそうです。
今回色々とお世話なったお二人には感謝の言葉もみつからないないくらいです。本当にありがとうございました。道東最高!