我が家にあった、40年近く前のフロア型スピーカーを修理したお話です。
パイオニア「S-180A」は、当時一本が55.000円のフロア型スピーカーで、メーカー各社本格的なフロア型に力を入れていた時代のものでした。
本当に欲しかったのはJBLのスタジオモニターでしたが、一本が15万円から30万円以上もしたので単に憧れのスピーカーでした。
それでも、選び悩み購入に至ったS-180Aには満足して聴いていたのでした。
しかし、このスピーカーのサランネットを何十年か振りに外してみて・・・・・愕然としました。
何と!ウーファーのエッジが触っただけで崩れ落ちてしまったのです。


スポンジ状のエッジが経年劣化して、お菓子のパイのようになっていました。
最近は、ミニコンポやBluetoothスピーカーに満足していたので不自由はなく、再びサランネットを納めてインテリアと化していました。
ところが先日、このS-180Aを鳴らしてみて驚きました。
低音は抜けてダメですが、中高音には驚かされました。
ミニコンポやBluetoothスピーカーとは、全く比べ物にならない本格的な音でした。
当初、ハードオフで売られているJBL4311Bの程度の好いものを購入しようか考えていました。
S-180Aとほとんど同じ時期のものですが、ネット上の評判は使えない部品が多く、当たりはずれも多いようでした。
スピーカーを自分で修理できることを知ったのは、それから数日のことです。
それならやってみようか・・・もしも失敗した時は、中古でもと考えていたのです。
ネット上を検索すると、このスピーカーのエッジ交換をしたブログもありました。
そこで出てくるのが「FUNTEQ・ファンテック」というスピーカー修理専門のメーカーでした。

修理もしてくれますが、DIYが格段に安く済みそうです。
左上のスピーカーエッジを選ぶと、サイズ別にずらりとエッジがありました。
あまりにもたくさんあるので、ページ検索に「S-180A」と探します。
すると・・・

ありますね。
思ったよりも値は張りましたが、しっかり治るなら仕方ないです。
これに専用の接着剤と筆のセットを注文しました。
送料は300円と良心的です。
後で気付きましたが、このファンテックは北海道石狩市にありました。
エッジが届くまで、作業を少しづつ進めておきます。

ウーファーをエンクロージャー(スピーカーの箱)から外します。
重さが25kgあるので、大半はウーファーの重さかと思ったら、エンクロージャーが意外に重かったようです。
6角レンチで8本のナットを外し、コードは差し込み式のソケットなので簡単に脱着できました。
ソケットの形が違うので、プラスマイナス間違えることはありません。
いよいよエッジの除去作業です。

指で押すだけで、ボロボロと粉々に落ちるほど朽ちていました。
コーンは紙でできているので、劣化などはなく問題はありません。
次にコーンに残っているエッジを取り除きます。

カッターを使って慎重に切り取ります。
髭剃りのように、軽くあてると簡単にそぎ落ちます。
雑にするとコーンを切ってしまうので、ここは丁寧に行いました。
仕上げは刃の裏でこすって残りカスもきれいに落としました。
コーンの淵に残っている接着剤の硬いものはそぎ落としてもいいですが、音と見た目に影響が出なければそれほど気にしなくてもいいと思います。
次が、今回一番大変だった作業でした。
エッジの淵をゴムの輪で抑えて接着してありますが、これを取り外すのが一苦労でした。

金属にたっぷり接着剤を使って接着してありました。
マイナスドライバーで、えぐり刺すように少しづつ剥がしていきました。
無理に引っ張るとゴムが切れたりちぎれたりするので、少しずつ確実に剥がしていきます。

ようやく剥がし終わったところです。
ゴムやガスケットが残っています。
これが残っている限り、新しいエッジの接着はできません。

カッターナイフ等を使ってそぎ落としますが、相手が金属なのでこの作業は楽でした。
しかし、隅に残っているゴムが一番大変でした。
カッターでは削れず、彫刻刀を使いました。
見た目にはよくありませんが、接着するに支障のない程度で良しとしました。
厳密には紙などで作ったガスケットを貼り付けますが、ゴムパッキンがあるので無くても音に影響はなさそうです。
あとは、注文したエッジと接着剤が届くのを待つのみです。
つづく
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