比叡山坂本ケーブルは、昭和2年に敷設されたケーブルカーです。
ケーブル坂本駅と延暦寺駅間を、日本最長の2025mを11分で結びます。
中に入って受付をして、レトロな駅舎で時間待ちです。

時が停まっているかのような舎内には、ポツポツと拝観客が集まってきていました。
時間が近くなると、改札がはじまりそうなので私たちも並びました。

車両は当初の頃と入れ替わっているのでしょう、近代的な感じがします。
座席は下に向かって同じ向きに並んでいます。
私たちは一番前、つまり最後尾の見晴らしの良いはずの席に座りました。
時間になって動き出すと、ゆっくりと昇って行きます。
本来なら琵琶湖を望むパノラマの絶景が見渡せるはずなのですが、生憎の雨が全てを覆っていました。

見えるのは運転席の前だけです。
線路の中央にケーブルが見えますね。
延暦寺駅に着くと、ここから10分程歩かねばなりません。
もちろん屋根などないので、傘をさしてのアップダウンの道のりでした。
ようやく入口に着きました。

人ごみが拝観受付所です。
この先が延暦寺東塔です。
東塔(とうどう)は比叡山延暦寺の中心地です。
一隅を照らす会館という建物が全体の案内所で、売店などもあります。
東塔は、ここを中心に各堂へ広がっているような印象です。
ここで延暦寺の教えを紹介しておきましょう。
1200年前に、伝教大師最澄は日本の国の安泰と国民の幸せを祈って日本人に合った仏教を比叡山に開きました。
その教えの根本は「個々が思いやりの心を持って一隅を照らす人になる」ことです。
つまり、一人ひとりが相手の立場に立って考え、自分のできることを精一杯行うことが周りを良くすることにつながるということです。
こちらは根本中堂の方向です。

一番はじめに、国宝の根本中堂へ降りて行きました。
太くて高い杉林に囲まれた神秘的な空間にそれはあります。

「根本中堂」(こんぽんちゅうどう)は寺院の本堂にあたるもので、延暦寺に拝観した人が必ず訪れる場所です。
靴とカッパを脱いで中に入ります。
広い内陣の奥は土間になっていて、拝観する位置からは随分と低く見えます。
伝教大師自作の本尊・薬師如来像は暗くてほとんど見えません。
滋賀院で見てきた不滅の法灯が3つ、ぼんやりと見える程度の灯りでした。
抹香の香り漂う厳かな空間に身を置いて、心はしばしのタイムスリップを楽しみます。
お守りのお札を入手してから外に出ました。

根本中堂の前から総合案内所方面です。
いつの間にか、お昼が近づいていました。
拝観の前に昼食をとることにします。

宿坊・延暦寺会館に昼食の予約を入れてあります。
2階のレストランに移動して待ちます。

こちらは「松花堂弁当」です。
精進料理ですので、肉や魚は一切使っていません。
それでも、肉料理の食感や味などが再現されています。
ごま豆腐は好物なので、本場の美味しさを味わうことができました。
もう一品は「比叡御膳」です。

鍋やコンニャクの刺身、そしてごま豆腐ですね。
美味しい精進料理を味わいつつ、窓の外を眺めれば・・・残念ながら、杉林の向こうには何も見えません。
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